選考委員 | 中原慎一郎(インテリア&プロダクトデザナー) |
---|---|
島田昭彦(京都伝統文化プロデューサー) | |
小仲正克(株式会社日本香堂ホールディングス代表) |
作品名:「雫」
【選考委員より】
小仲 | 今日はお疲れ様でした。最優秀賞のポイントなどを中原さんからコメントをいただければと思います。 |
---|---|
中原 | 1次審査の時点で、造形のおもしろさ、モダンさに結構ひかれて実物をどういう風に作られてくるかなと思っていたのですが、きちっとした形で作っていらっしゃいました。商品化しても面白いかと思います。そういう意味では新しい香皿としてモダンな提案ができるかなと思ったので一番いいかなと思いました。 |
小仲 | ありがとうございます。それでは続きまして島田さんお願いいたします。 |
島田 | 作られた方がお母さんで、子供さんがいる家庭でも使える安全性まで配慮されているし、新しくフレグランスに触れたい、取り入れたい、と思う人の中のニューファミリーのママさんでも十分に使えて、最後の灰の処理、落ちた灰がちゃんと下にたまるような構造も考えられているところがすごく優秀なポイントかなと思いました。 |
中原 | カラーバリエーションも考えられそうですね。 |
小仲 | そうですね。下の色をちょっと変えるとか。 |
中原 | マットに仕上がっているのもすごいモダン。光沢があるよりもマットな方が一種の高級感とモダンさと、ちゃんと兼ね備わっていて完成度が高いですね。 |
島田 | そうですね。総合的な完成度がすごい高いです。 |
小仲 | 確かに、拡張性というか、上と下で色を変えてみたりして組み合わせでまた違った世界観が生まれるとか。 |
中原 | そうですね。パーツを別々にしているのもとてもよいです。 |
小仲 | ありがとうございました。 |
作品名: 香る日時計(Fragrant sundial)
【選考委員より】
小仲 | 続きましては京谷さん、京都ご出身の方ご自身でも製陶業を営んでいらっしゃるとのことでございます。技術的にも高いというお話でしたが、中原さんからいかがでしょうか。 |
---|---|
中原 | はい、コンセプトがきりっとしていらっしゃる。それを体現する技術力を持っていらっしゃいますね。お香ありきできちっとしていらっしゃる。全体的に造形ができているのでお香に火がついている状態でも、ついていない状態でも、ひとつのオブジェとして楽しむことができるというところですごく完成度が高いと思いました。 |
小仲 | ありがとうございます。島田さんお願いいたします。 |
島田 | 京都で器を作られている技術力と、やはり総合的な完成度、そしてお香を立てたときの機能としての完成度の両方があるなという感じがしました。後は日時計ということで実際の使えるシチュエーションがすごくあるので楽しみのある香皿だなという風に感じました。 |
中原 | ありそうでないですね。 |
島田 | そうですね。アイデアとしてすごくいいということも付け加えたいですね。こんなアイデアがあったのかと。 |
小仲 | そうですね。最優秀賞、優秀賞と2点残って接戦の末、惜しくも優秀賞ということでしたけれども最優秀賞にしてもおかしくないような作品だったと思います。 |
作品名: 陽華文香皿・香立
【選考委員より】
小仲 | 続きまして特別賞「中原賞」福井梓さんです。中原さんぜひお願いいたします。 |
---|---|
中原 | まずは絵付けに目が行ったということですね。柄にすごく、伸びやかなで健康的な、いやらしさがないというか非常に伸びやかさがあってあまり奇抜なデザインではないですが、繊細でちゃんとした世界観が香皿自体に感じることができたので。あまり過剰過ぎず、シンプルすぎず、そういう意味では完成度が高い作品ではないかと思います。 |
小仲 | よくよくみてみるとフェミニンなようでいてマスキュリンな感じもあって結構引き込まれる感じがありますね。今を感じる作品です。 |
中原 | そうですね。絵付けのバランスとかもすごくいいので、そういう意味では完成度が高いというか、今すでに売っていてもおかしくないような印象を受けました。海外のお客様にもいいのではじゃないかなと思いますし、これもまた色のバランスも変えられるものがあったりしてもいいじゃないでしょうか。ちゃんと真ん中のお香を立てる香立のところがつぼみにに見えるように考えられているのもいいじゃないかと思います。 |
小仲 | ありがとうございました。 |
作品名:「香りの演出」
【選考委員より】
小仲 | 続きまして特別賞「島田賞」趙杰さんです。他とはテイストが少し変わった作品になっています。 島田さんよろしくお願いいたします。 |
---|---|
島田 | デザイン的にエッジが一番効いているというか、陶器と金属をあわせてつくったというのがとても斬新で21世紀型の香皿デザインかなと。伝統を踏まえながら最先端、モダンなところを表現されて、伝え方もいくつかバリエーションがあって、お香を3本差して、2本差してなどできそうな感じなので、マンションの部屋やホテルの部屋など、置くシチュエーションがかなりイメージ転換できます。こんな発想もあったのだとみなさんにイメージしていただいて、来年再来年のみなさんのコンテストに出していただくひとつのヒントになるのではないかと思います。 |
小仲 | 今回の香皿コンテストの中でこういった作品があると、デザイン感というのでしょうか。 |
島田 | そうですね、発想のよさというか、アイデアのよさというところを感じました。 |
小仲 | ありがとうございました。 |
作品名:「透器-touki-」
【選考委員より】
小仲 | 実はコンテストを展示準備している中で、香十のスタッフから強い共感を得ている作品でした。香十がこれから目指す世界観、繊細で新しい作品だと思います。組み合わせというか技術的にも高いものがあるのではないかと思います。榊原社長いかがでしょうか。 |
---|---|
榊原 | やはり雰囲気が香十の新しいロゴのマークに似ている感じがあって、抜け感というか、多分送って頂いたのは沢山作られたうちの一つなのではないかと。沢山失敗もされたのかもしれません。釉薬をうまく塗っていい色を出しているなと思いました。 |
小仲 | 結構並べているなかでグーっと皆の気持ちが集まっているなと感じましたね。 |
島田 | 一番手がかかっている感じがありますね。 |
小仲 | そこら辺はどうなのでしょうか?技術的に。 |
中原 | 青磁をつかっているというところで、東洋感というか形としては香十にあうのではないかと。その感じと形は李朝というかそういう器のようなアジアの器のきちっとした形で。上の部分は女性的視点というかモダンな視点が入っていて上手い表現なのではないでしょうか。昔の伝統的な部分と新しい部分と。そして女性的、やさしい感じがしますね。 |
小仲 | そうですね。ありがとうございました。 |
作品名:「富士の山」
【選考委員より】
選考委員 | クラシカルな感じで非常に勢いがある。とても存在感が大きい作品になっています。 |
---|
作品名:「山と田んぼ」
【選考委員より】
選考委員 | 竹編みの感じが京都らしく、繊細でどうやってつくっているのか、と引き込まれる作品です。 |
---|
作品名:「丹頂鶴」
【選考委員より】
選考委員 | 全体的に完成度が高くセンスが感じられる作品でした。すぐにでも販売できそうです。 |
---|
【審査を終えて】
小仲 | 第1回香十香皿コンテス審査を終えての総評をお願いします。 |
---|---|
中原 | もっと香皿というかお香を使うというところから壁掛けというか、もっと遊んでもいいのではないかと。どうしてもお皿というと限られてしまうのですが、もっと来年以降はお香を楽しむというか、もっととんだ発想が出てきてくれたら嬉しいなと思います。 |
小仲 | 今回は香十香皿コンテストとして募集しましたが、香皿というのは次回はいいのかどうかもありますが、来年以降はプロダクトと、技術的によったものとか、生活に密着したものとかそういった視点で実施してもいいかと思います。 |
島田 | 今回、作品名というかテーマというものがなかった作品があるのでそれはつけて頂きたいと思います。名前というよりもタイトルというものがあった方がよりよくわかるので。 |
中原 | そうですね。作られる方は名前というか、おそらく作家さんですと日常生活の延長で作られている場合があるので、名前を考えられていない方もありますし、ものをつくるときの歩み寄り方があると思いますが。 |
小仲 | そうですね。来年以降は必ず作品にタイトルをつけてもらいましょう。テーマというか。 |
中原 | デザイン的な視点でくる方と、よりクラフトでくる方がいらっしゃると思うので。来年以降の審査基準もどうするか考えなければですね。 |
島田 | 今回も吊り下げ型の応募が進化系としてでていましたが、お皿から、空間の中での香りっていうことになってくると思います。更に、空間と香りの提案があってもいいでしょうか。広がりすぎてしまうかもしれませんが、何回か進めているうちに枝が分かれたそいういったものがあってもいいかもしれませんね。 |
小仲 | 空間と香り。プロダクトというところからもうすこし柔らかな広がりがあるといいですね。 |